5年で塗装が剥がれるトラブル

2013年11月27日

2007年に外壁塗装をさせて頂いたお宅の破風板から、塗膜が大きく剥がれるトラブルが発生。施工後、約5年しか経過していないのに一体なぜでしょうか。
当サイト運営者である塗装職人の一級塗装技能士が現場を調査したところ、新築時に塗られた塗膜からペリペリと剥がれていくことが判明。その下は素地が剥き出しになっている状態。

5年前に施工したときには異常は見当たらなかったらしいですが、それから年月が経過することで新築時の塗膜の傷みが進行したと考えられます。
お家を建てて塗装したときの新築時の状況は今では推測しかできませんが、シーラーを下地にたっぷり浸透させて密着性を高めていたら、このようにはならなかったのでは…とも感じてしまいます。お客様からしますと新築時がどうであれ、今現在、塗装が剥がれているのだからどうにかしてほしいという思いがあります。詳しく説明して納得いただくより、今回は1日で施工できる範囲ということもあり、塗り直しをする方が早いという結論に達しました。こういう場合の責任問題というのは難しいものがありますが、私たちは今もこれからも質の高い塗装を提供していこうと決意を新たにした次第です。

塗装工事というのは、以前に行った塗替えが次の施工に強く影響してくるものです。よい塗料を使用して正しい塗装法を行ったとしても、前回の塗装の影響が数年経過したのちに現れてくることもあります。そのため、予想だにしなかった出費が加わってしまう可能性も…。はじめての塗装を考えている方は、特に慎重に塗装業者を見極めて、しっかりとした施工をしてもらうことが後々の塗替えのためにも、お家を長く保護するためにも大切と言えます。

塗料の種類より耐久性に影響する塗料缶数の使用量とは?

2013年11月22日

住宅によって、面積の広さ、外壁の傷みや模様の種類、使用する塗料……
家それぞれ様々な条件が違えは、使用する塗料の缶数は変わってきます。

塗料缶数で言えばどちらかといえば消費が少なすサイディング。
それに比べてモルタル外壁の代表であるリシンやスタッコなどは正確に塗れば塗ろうとするほどとても多くの塗料を消費します。
 

モルタルリシン


 

吹き付けスタッコ


 
凸凹ザラザラの模様の目が粗い外壁の住宅では40缶近く使用することも。

平均でも、下塗りに5缶、中塗りと上塗りそれぞれに三缶ずつなど10缶以上使う事が多くなります。
ジョリパットも模様によっては多くの塗料を使います。
 

ジョリパット


 
「何回塗りなの?」
「どんな塗料を使うの?」

こうやって訪ねてくるお客様は、たくさんいらっしゃいます。ご自分で調べた知識の中で気になる点、またはここを聞いた方がいいよ、と言うアドバイスに従っているのでしょう。
勿論、そこも大切な所です。だって薄く塗られてしまったら困りますし、無名の塗料であれば不安ですもの。
しかし例えば高級塗料を使用していても、シンナーや水をだぼだぼと入れて薄く延ばしてしまえば、三回塗りをしたところでとても薄い塗膜しか出来あがりません。
 

 
薄く伸ばして使えば、使う塗料は少なくて済みます。
さらに言えば塗る手間も極端に減らすことも可能なので、手抜き工事の一つとしてよく例えられたりもします。

けれど、薄く伸ばした分だけ、汚れも、亀裂も、カビも防止出来ないのです。

塗装費用がかかるのは、足場を組み、養生をするからです。足場は撤去してしまいますし、養生は最後にはごみになってしまいます。
けれど、塗膜は残ります。
そしてたくさんお金を掛けるのは、この最後の「塗膜」を残すためです。
下地調整、メーカー基準の希釈量(薄め量)、そしてしっかりとした養生。
 

使用済みの空缶


 

塗料缶に記載される希釈率への注意書き


 
もしよろしければ、大体でもいいので下塗り・中塗り・上塗りで使用する缶数をお尋ねください。

塗料の適切使用
 

剥げやすい屋根を頑丈に密着させるための塗装

2013年11月21日

スレート屋根に発生しているコケ


 

花が咲いたようにはがれた塗膜


 
今回は屋根の中でも、特に主流となっているスレートの塗装について説明します。
屋根を塗装するのは外壁と一緒に行うことが多いです。(屋根のみもあります。)外壁の塗替え時期は、大体の目安として築10年ほどと言われていますので、屋根も同時に行う場合は相応の汚れやコケが付着していることも。
 
塗装に入る前にこれらの付着物を丁寧に水洗いして、下地と塗料の密着度を向上させておきます。
高級な塗料をたっぷり使用して肉厚な塗膜をつけたとしても、すぐに剥がれてしまっては意味がありませんよね。塗装によって屋根を長期間、紫外線や風雨から守るためには、まず塗膜をぴったり密着させることから開始です。

塗装職人では、最高150キロ圧が出る防音型の高圧洗浄機で家の水洗いをしています。屋根はスレート(屋根材)の一段ずつにジェット水流を噴射して、こびりついたコケや汚れを入念に洗い落します。足場は可能な限り屋根より高く組んでもらい、その周囲をメッシュシートで覆っています。洗浄によって泥水を周りに飛び散らせないように、また、風が強く吹くと塗料も飛散してしまうことがあるので、その予防策です。

雨押さえ(棟押さえ)や雪止めといった鉄部は、ケレン(下地調整)をしてサビや汚れを削り落します。
 

棟板金の下地調整ケレン


 
さらに、全体を研磨して微細な傷をつけることで、ツルツルした状態より塗料の食い付きがよくなります。サビ止め材を塗布してサビの再発を抑制しましたら、屋根材の下塗りへ。
下塗りではシーラーをたっぷり浸透させます。表面が濡れたようにしっとりとするまで塗布。屋根の傷み具合によっては、シーラーがすぐに吸込まれてしまうことがあります。そのときは、繰り返し塗布して吸込みを止めておきます。このシーラーには下地と塗料の密着性をアップさせたり、屋根材を固めて強化させる役割があります。
 

スレート屋根のシーラー塗布


 
中塗りと上塗りでシリコン塗料をたっぷり塗布して厚みのある塗膜をつけていきました。上塗りでは中塗りと別の色を使用して、塗り落しや掠れている部分がわかりやすくなるようにしています。

通常、塗装は3度塗りが基本ですが、使用する塗料が遮熱や断熱タイプの場合は、計4~5回塗り。傷みによっても変動することがあります。
塗料をふんだんに塗り重ねた塗膜は、陽を浴びてキラキラと輝く光沢のある仕上がりに。屋根上は足場などがないと、頻繁に目にする場所ではないですが、紫外線や酸性雨を受けて傷みやすくなる場所。耐久性のある塗装でしっかり保護することが大切です。
 

ピカピカの光沢を放つ塗装後のスレート屋根