外壁塗装で損しない、家の隅々までこだわる丁寧な作業とは?
2019年11月7日
細部にこだわることで完成する 丁寧な塗装とは?
この塗装業界には様々な塗装会社がありますが、家の仕上げ方も塗装会社によって様々です。
一級塗装技能士でもある私は常々、「丁寧な塗装」というものにこだわって、塗装をしてきました。
細部にこだわった塗り方をする…ということは、その他の作業についても丁寧な仕事をするということに繋がる、と私は考えています。
逆に言えば、細部にこだわれないということは、その他の作業でも「ここはこれくらいでいいか」「ま、こんなもんだろう」という気持ちが湧き、ついおろそかな作業をしてしまうことがあるのではないかと思うのです。
実際、私も若い頃にそういう現場を見てきました。
お客様からしたら、塗ってあってもあまり気が付かない箇所もあるかとは思いますが、工事してもらうにあたり「作業する場所」と「作業しない場所」の線引きをはっきりさせるためにも、今回はそうした「丁寧な塗装」を完成させるためにこだわった、細部の塗装について詳しくご紹介したいと思います。
外壁塗装でパーツを取り外して行うこだわりの塗装部分
家の塗装と言うのは、実に千差万別です。
家によって形も違いますし、塗りにくい部分も違います。
同じ形の建売住宅だとしても、建っている場所の微妙な日当たりの差や、雑草などがある場所に面しているかいないかで、壁や屋根の傷み具合は変わります。
ですので、塗装はそれぞれの家にあったやり方があるのです。
例えばこのベランダの一部である、格子の塗装です。
この格子は、外さないで塗装することも可能ではあるのですが、良く見ると格子の取り付け部分の壁にコーキング剤(シーリング)が打ってあります。
コーキング剤は、古くなってくると「肉やせ」と呼ばれる、ゴムが劣化した状態になるため、せっかく塗装をするのであれば、このコーキング剤を取り替える「シール工事」をするのが最適です。
ですので、このお宅では格子を外し、新しくコーキング剤を打ち、格子の取り付け部分も細かく丁寧に塗装をしました。
ただ、この格子を取り外す工事が、できない場合もあります…。
格子の連結部分のネジが錆びていたり、ネジ山が潰れてしまっていたりすると、格子自体が外せないので、こうした丁寧な仕事はできなくなるのです。
あくまでも、塗装屋がドライバーで外せる範囲…というのが条件にはなりますが、私としては外せる範囲であれば外して、できるだけ丁寧な仕事をするのが理想です。
次にご紹介するのが、壁面にある目隠し用の格子です。
天井の通気口部分などにある目隠し用の木でできた格子は、外さないでもぬれますが、できるなら外して細部まで塗ると木部の仕上がりが綺麗です。
格子はこのまま塗ると、非常に塗りにくく、作業時間もかかってしまいます。
一見すると、外して塗るほうが面倒に見えますが、格子を外して塗装し、目隠し部分もキッチリ塗ったほうが作業も早く終わるのです。
すこしの手間で、効率も完成度も上がります。
カーポートの屋根部分であるアクリル板を外して、足場を組み、外壁を塗る場合があります。
大体の家ではカーポートが、家の壁の前に密接して建っていることが多く、足場が組めないこともしばしば。もちろん無理やり足場を組める場合もあるのですが、無理に足場を組むと作業がしにくいことがあります。
そんな時はサッシ屋さんを手配して、カーポートの屋根部分にあるアクリル板をはずし、屋根を突き抜けるような形で足場を組みます。
このアクリル板が非常に重いので、どうしても専門の業者さんであるサッシ屋さんを手配しなければならず、別途費用もかかるのですが、カーポートの屋根を外して細部を塗ることで、仕上がりは違います。
サイディングの壁などは、隅から傷んでくるので、こうした作業がこの先10年間の外壁の持ちを変えます。
カーポートの屋根を外さず塗る業者も沢山あるので、見積り時に「カーポート前の壁はどのように塗りますか?」と聞くのも大事です。
家のタイプによっては、外さなくても丁寧に外壁塗装ができる場合もあるので、外さない理由を塗装業者がしっかりと説明するようであれば、丁寧な仕事をする塗装業者だと思って大丈夫かと思います。
その他なかなか確認しづらい箇所ではありますが、雨どいの塗装などもあります。
雨どいには「軒樋」と呼ばれる、屋根に平行に走っている樋があります。この軒樋は、支持金具と呼ばれる樋を支える金具を外してから塗ります。
外すと樋自体を綺麗に塗れることはもちろんですが、樋を外して劣化している鉄製の支持金具をステンレス製のものに変えることもできます。
まれに塩ビタイプの支持金具もありますが、これはできるだけ早く交換することをオススメします。塩ビタイプのものは、日に当たるとパキパキと折れやすくなり、耐久性があまりよくありません。
また、軒樋を外すことで、唐草(からくさ)と呼ばれる屋根のへり部分や、破風(はふ)と呼ばれる屋根の厚み部分なども丁寧に塗って仕上げることが可能になります。
唐草は意外に幅も狭く細かい部分なので、その唐草の幅に合わせた細いハケを使うことで綺麗に仕上げることができます。
また支持金具を交換しない場合は、上から塗装をするのですが、その時は支持金具用の小さい平刷毛で塗ります。
それぞれの幅にあったハケで塗ることで、はみ出すことなく美しい仕上がりになります。
ただ、支持金具が劣化していたり、最近の新しい支持金具のようにガッチリと樋をくわえ込んでいたりするタイプのものは、樋から外れない場合があります。その時は支持金具を外して塗装することができません。
無理に外しても破損してしまうので、支持金具をつけたまま、できるだけ隙間にハケを入れて丁寧に塗り上げます。
この写真のようにひさしの上に横になるなどして、雨どいの後ろ部分を塗っていきます。
寝ながら塗るのは、想像以上にきつい体制なので時間はかかりますが、雨どいの裏側を真正面に見て塗ることで、細部までしっかりと塗ることができます。
このように私たち塗装業者がドライバーで外せるものは外して(カーポートのアクリル板以外)、塗る部分を露出することによって、普段は手が届かないような場所も塗ることができます。
塗装する際の、細部のこだわり部分として少し大掛かりな作業をする4つの箇所を紹介しましたが、まだまだ本当に細かに部分は沢山あります。
次は、そちらについてもご紹介したいと思います。
【その他】外壁塗装を仕上げる際に塗る、細かい部分いろいろ
<雨戸のある家の場合>
雨戸には2つ種類があって、雨戸を戸袋に収納するタイプと、壁に雨戸を収納するタイプがあります。
戸袋タイプは戸袋の外側を塗りますが、壁に収納するタイプは、雨戸を移動させても雨戸で壁が隠れる部分が出てくるので、雨戸を外して壁を塗ります。
また、外した雨戸も丁寧に塗って仕上げます。
弊社ではハケが入らず、雨戸が簡単に外れそうであれば、必ず外して作業をします。
<室外機のエアコン配管カバーの塗装>
外壁にくっついたエアコンホースのカバーも、綺麗に塗装します。最近ではカバーがついたものが多いのですが、できる範囲でカバーを外してぬります。
壁全体を綺麗にして、カバーだけ汚い場合はカバーを塗るときもあります。これまでの塗装工事でも、トータル的にはカバーを塗ることが多かったです。
<室外機のエアコン配管ホースのテープ>
<壁下の地面に近い部分>
壁下の地面に近い部分は寝転がって塗ります。座った状態で塗ってしまうと、どうしてもハケを斜めに入れることになってしまい綺麗に塗れません。
このように寝転がることで、壁を正面に見てキッチリと塗ることが可能になります。
<縁側>
縁側の表側や格子部分の隙間など見える箇所の塗装はもちろんですが、縁側の下や、裏側も寝そべって自分の体が入る限り、縁側の下に潜り込んで塗ります。
<トタン壁の家>
トタン壁の家の場合、「ケレン」と呼ばれる錆を落とす作業をします。「ケレン」を丁寧にするかしないかで、上に塗る塗料の密着度合いが変わります。
「ケレン」は、細かく行わないと錆を落とすことが出来ないため、手作業で行います。
塗装より何倍も、根気のいる作業ですがこうしたところも丁寧な塗装をするためのひと手間です。
お隣との境界が限られてしまう場合は、このように横になって作業する場合もあります。
<テラス屋根と軒天の間>
ベランダの屋根はアクリル板や波板があります。
一旦外して塗装をします。
<植物と密接した壁>
壁際に植物が有る場合は、しっかりと養生(カバーをすること)をして植物を傷めないように配慮しながら塗ります。
植物の胞子などで、壁の汚れなどがひどい場合もあるので、こうした植物と壁が密着しているところは、非常に気を使います。
<5センチしか幅の無い隙間>
こんな5センチの隙間も、長柄にローラーをつけて、しっかりと塗装します。
もちろん、下に塗料が垂れたりなどしないように養生もキッチリするのが大切です。
<ベランダの屋根(波板)と壁の隙間>
ベランダの屋根の上は、下からはあまり見えない部分ではあるのですが、こうした隙間も余すとこなく塗装します。
職人の手や体が入る限り、細かく仕上げます。
<雨どいに詰まった枯葉>
雨どいに詰まった枯葉は、手で取り除きます。
高圧洗浄機などを使って吹き飛ばすこともできますが、そうすると隣接する家に飛び散ってしまい、ゴミを撒き散らすことになってしまいます。
そうなってしまっては大変なので、足場に上って丁寧に手作業で取り除くのです。
<階段の裏側>
階段裏は大きな面はもちろんですが、細かなステップの裏なども潜り込むようにして塗ります。
ネジとネジの間などもあるので、ハケの種類を変えながら丁寧に塗っていきます。
様々な塗り場所に対応できる柔軟さが塗装業者には重要
今回は細部への塗りのこだわりとして、一部をご紹介させて頂きました。
これ以外にもたくさんの小さい箇所や、一見すると分からないような箇所の塗装があります。こうした部分に対応するためにも、職人の柔軟かつ臨機応変に現場に対応できる力が必要となるのです。
最初にもお話ししましたが、細部まできちんと塗るということは工事全体の質をあげ、さらにはお客様にも「安心」をお渡しすることができます。
よく「神は細部に宿る」といいますが、「完璧な塗装も細部に宿る」のだと私は思います。
職人のプライドにかけて、たとえ辛い体制を取りながらの塗装であっても、キッチリと仕上げることが、お客様からの信頼に繋がると日々の塗装で感じています。
もしこのブログをご覧になったお客様の家の塗装で、こうした細部まで行き届いた塗装がされていましたら、その塗装会社の仕事は他の部分も丁寧な仕事をされていることかと思います。
この記事によってお客様が塗装会社の仕事を推し量る、一つの目安になれば幸いです。
また今回の記事と関連する部分があると思うのですが「足場を組むのだからついでにやるといい工事」も参考になると思いますのでご覧ください。
2世帯をつなぐ足場
2015年10月22日
2世帯同時に塗装工事をさせていただくことになりました。
とても、ありがたいことです。
紹介するのは、塗装を始める前の足場工事の様子。
いつもお伝えしているとおり、確かな塗装を行なうための、
足元固める大切な工程です。
このように仲良く並ぶ2世帯のお宅です。
クサビ足場に欠かせないハンマーを手に
塗装職人の足元を支える踏板を組んでいきます。
塗装職人も足場職人も、
この梯子を登って空へ空へと近づきます。
2世帯を離れて眺めると、このような感じです。
2世帯をつなぐ足場。仲良く並んでいます。
足場が組みあがり、メッシュシートを張っていきます。
空から降りてくるメッシュシート。
どんどん、メッシュシートが張り巡らされます。
塗装工事へつなぐ架け橋といえる足場工事も完成間近。
メッシュシートが家をすっぽり覆っていきます。
高圧的。でも、デリケート
2015年10月22日
塗装工事のなかでも、住宅一軒まるごと洗ってきれいする高圧洗浄は、
水しぶきとエンジン音がうなり、豪快な工程です。
これだけの大きさのものを
大量の水を汲みあげて洗うのですから、当然です。
しかし、外壁を洗うときも
雨戸や
足場の狭いところにもぐりこむような姿勢で水流を当てるときも、
職人の眼は、この後塗る塗装面を見つめ続けます。
自身の眼で確かめながら、塗装面の状態に応じた適切な洗い方で
住宅をいたわるように、デリケートな心遣いで洗っていくのです。
ときには、このようにお客さまのご質問に
塗膜と塗料について納得いただくまで説明しながら
屋根から
壁まで全部、さっぱりきれいに洗いあげます。
どんどん排水溝へと流れる住宅一軒分の汚れ。
塗装面が良いコンディションに調えられた証です。