見積書のどこをチェックすればいいの?はじめての外壁塗装

2013年10月30日



はじめて外壁塗装に踏み切って、いざ見積もりを数社から貰ったところ、
各社で見積書の書き方が違う・使用する塗料が違う・・・

結局、比較・検討が出来ず、困り果てる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
会社によって見積書の書き方が違うのは仕方のないことと言えるでしょう。
A社は木部と鉄部を別々に計算してくれていても、B社が木部と鉄部をごちゃ混ぜに書いていたら比較は出来ません。

また、見積書で塗装の品質を確認することは、非常に困難と言えましょう。
良く誤解してしまいがちなのは、「塗料の品質」と「重ね塗り」の2つです。
見積書に「高級な塗料」や「三回塗る」表記があったとしても、それだけで良い工事かどうかを判断しないでください。
実際、その通りの工事になるかな、やってみないと分からない点が多くあるからです。

悪質な例を上げるとすれば、一般塗料を高級塗料の缶に移し替えて使うという話もあるくらいです。

家の傷み具合を見積もりの時に、写真付きで報告してもらう場合も、安心感がありますが、それが確実な作業をしてくれるのか?というのは、また話が別物になってきます。

工事の質を見積書だけで判断するのは、とても難しいことでしょう。
もちろん頼むのであれば「この通りの施工をしてくれる」と言うのが前提になりますが、確認していただきたいところは「長持ちさせるうえで重要な項目が明記されているか?」です。

では、具体的にどのような項目をみればいいのでしょうか?

1、塗料の缶数が明記されているか?
塗料の数量が少なければ、それは必要以上に薄めた塗料で塗られているということでしょう。そうすると、塗装の厚みも少なく、長持ちしません。
ただしこれも家によってバラバラです。
「触った感触がツルツルした外壁」と「外壁の凹凸がざらざらしている外壁」では、塗料の吸い込みヶ異なるので、そのあたりを加味して、塗料の缶数をチェックしてください。

塗料缶数の事前確認



どれだけの塗料缶を消費したのか



2、素材の種類ごとに、塗料の名前・種類が明記されているか?
基本的に、外壁と木部、鉄部の塗料はそれぞれ異なった塗料です。
例えば、木部用の塗料で外壁を塗ることはオススメ出来ないですし、鉄部用の塗料で木部を塗る事もオススメ出来ません。
鉄部に木部用の下塗りを使用してしまえば、塗料が上手く密着せず、塗膜が剥がれて酷い状態になってしまいます。

3、重ね塗りの明記があるか?
多くの家の塗り替えの場合、外壁は三回塗りがほとんどです。
また、木部や鉄部の塗装も基本は三回です。傷みが少ない個所であれば二回の塗装で完了出来る状況もありますが、基本は三回塗りと覚えておいてください。

4、下地調整作業の明記があるか?
どんなに質の良い施工をしてもらったところで、塗膜が剥がれてしまえば全てが無駄になります。
外壁の下地調整は「高圧洗浄」。木部・鉄部の下地調整は「研磨作業」です。
この二つの明記があるかどうか、確認してください。

5、下地処理が明記されているか?
下地調整と同じだけ大切な下地処理。サイディング外壁であればシーリング処理について、モルタル外壁であればクラックの補修について、明記されているでしょうか。

一番悩むのは、業者の価格差の違いでしょう。
上記5つの項目の確認がとれた、ということは、それだけの手間と時間がかかります。
もし安い値段であれば、確実に書かれている工事をしてもらえるのかどうか、随時確認をした方がよいかもしれません。
逆に高い値段でも、利益ばかりを上乗せされた価格とも考えられますので、施工中の確認は必要がなくても、5つのポイントは抑えておくべきです。

施工5年後に剥がれてきた塗膜の原因は、

2013年10月24日

スレート屋根の剥離トラブル



良い業者に出会えて、高級塗料で肉厚に塗装!艶もある良い出来だと満足していたのに塗膜が数年もしない内に剥がれてきてしまった。手抜き工事だったの?

いいえ、そうとは言い切れません。そんな事例も稀にですが、存在します。
今回は「しっかりと塗装したのに剥がれてきてしまったハクリ」について少しお話させて頂きたいと思います。

安くない額を払っての外壁塗装。失敗したくないのは当たり前です。
皆さん、事前に外壁や業者について色々と調べ ここしかない! と思った業者さんに頼んでいるのでは無いでしょうか。
中には「前の業者さんは良くなかったから今度こそ、」と考える方もいらっしゃると思います。
考え抜いた先に選んだ業者なのに、すぐさま剥がれてきてしまった塗膜。

外壁リシンの塗膜剥離



なぜかと言うと、近日頼んだ業者では無く、その前に施工した業者や新築時の塗装の時に下地調整を怠ったり、下塗りを惜しんで物足りない施工をしてしまったり。そうした積み重ねが、綺麗に塗った塗膜より更に下の素地から塗膜を剥がす、と言う事例に繋がってしまうのです。

もし、そういう事例が起こってしまったら剥がれ始めた塗膜を綺麗に剥がし取り、下地調整をしっかりと行い、下塗りを濡れ感が出るまで塗布して、高級塗料での肉厚3回塗りを施工する。と言った作業を再度行う必要があります。

塗装5年経過後の剥離の詳しい事例はこちらをご覧ください。
 

適切な金額で、相応の塗装工事をする為に

2013年10月22日

良い業者選びや施工のお話を紹介してきましたが、今回は業者と縁を結ぶための「契約」について、少しお話していきたいと思います。

建築業界で交わされる契約形態は、請負契約です。
請負契約とは、「依頼を受けたもの(請負人)が仕事の完成を約すること」です。
つまり、何らかの建築を依頼された請負人が、完成した建築物の引き渡しをした時に債務履行となり報酬が支払われます。

さて、ここで、依頼主は請負人に対し仕事の完成まで代金を支払う義務はありません。そして、仕事の完成までは請負人の損害賠償をすれば契約を解除できます。
請負契約は、請け負う側のリスクが高い契約と言えるのです。

 

そこで、国土交通省は「発注者・受注者間における建設業法令順守ガイドライン」を策定しています。
ここでは、見積もりから契約に至る過程、さらに業務が進行する工程において「適切」であることを求めています。
依頼主と請負人のパワーバランスが均衡で無い以上、見積もり、契約によってそのバランスを均衡にしようとしているのです。
以上を踏まえたうえで、工事代金設定時に必要なコンプライアンスを考えてみます。

 

適切な工事代金設定には、建築業法19条が参考になります。

・ 19条第1項、19条の3
法は、19条1項において、工事内容について定めており、19条の3において、不当に低い請負代金の禁止を定めています。つまり、指値発注や原価に満たない金額を請負代金の額とする契約は締結してはならないのです。
また、契約は、下請け工事の着工前に書面により行うこと、契約に含めなければならない最低限の条項も定められています。なお、片務契約は建設業法上不適当とみなされます。

・ 19条2項
請負代金の額について定めているこの条項ですが、追加工事についての場合も本条本項の適用範囲です。
つまり、下請け工事について、追加や変更工事が発生した場合に、追加工事着工前に書面による契約変更が必要とされます。さらに、注文主から下請け業者に指示する場合も契約もしくは契約とみなされる方法をとることが求められています。

他には、19条の4において不当な使用資材の購入強制を禁止、28条において請負契約に関する不誠実な行為の禁止などが規定されています。

建設業法違反は、その処分を国土交通省のホームページで公開しています。これにより、請負契約の注文者が不当な条件を下請け業者に負わせた場合のペナルティー効果を経済的に、社会的に担保しています。