適切な金額で、相応の塗装工事をする為に

2013年10月22日

良い業者選びや施工のお話を紹介してきましたが、今回は業者と縁を結ぶための「契約」について、少しお話していきたいと思います。

建築業界で交わされる契約形態は、請負契約です。
請負契約とは、「依頼を受けたもの(請負人)が仕事の完成を約すること」です。
つまり、何らかの建築を依頼された請負人が、完成した建築物の引き渡しをした時に債務履行となり報酬が支払われます。

さて、ここで、依頼主は請負人に対し仕事の完成まで代金を支払う義務はありません。そして、仕事の完成までは請負人の損害賠償をすれば契約を解除できます。
請負契約は、請け負う側のリスクが高い契約と言えるのです。

 

そこで、国土交通省は「発注者・受注者間における建設業法令順守ガイドライン」を策定しています。
ここでは、見積もりから契約に至る過程、さらに業務が進行する工程において「適切」であることを求めています。
依頼主と請負人のパワーバランスが均衡で無い以上、見積もり、契約によってそのバランスを均衡にしようとしているのです。
以上を踏まえたうえで、工事代金設定時に必要なコンプライアンスを考えてみます。

 

適切な工事代金設定には、建築業法19条が参考になります。

・ 19条第1項、19条の3
法は、19条1項において、工事内容について定めており、19条の3において、不当に低い請負代金の禁止を定めています。つまり、指値発注や原価に満たない金額を請負代金の額とする契約は締結してはならないのです。
また、契約は、下請け工事の着工前に書面により行うこと、契約に含めなければならない最低限の条項も定められています。なお、片務契約は建設業法上不適当とみなされます。

・ 19条2項
請負代金の額について定めているこの条項ですが、追加工事についての場合も本条本項の適用範囲です。
つまり、下請け工事について、追加や変更工事が発生した場合に、追加工事着工前に書面による契約変更が必要とされます。さらに、注文主から下請け業者に指示する場合も契約もしくは契約とみなされる方法をとることが求められています。

他には、19条の4において不当な使用資材の購入強制を禁止、28条において請負契約に関する不誠実な行為の禁止などが規定されています。

建設業法違反は、その処分を国土交通省のホームページで公開しています。これにより、請負契約の注文者が不当な条件を下請け業者に負わせた場合のペナルティー効果を経済的に、社会的に担保しています。