見積もり一括サイトとキュレーションサイト

2017年6月30日

外壁塗装の見積もりとしては、今ではもう一般的になっている複数の業者から見積もりを依頼する「相見積もり」。

 

ネットでも見ることが多くなった「見積もり一括サイト」では、そこに登録しているエリア近くの業者さんに対して読んで字のごとく一括で見積もりを出せるというものです。

 

ただ格安な工事を求めるにはうってつけではありますが、その前にそもそも塗装についての本質を再確認してみてはいかがでしょうか。

 

塗装というものは、店頭で売られているあらゆる物や商品や、各部品から構成して作られるものなどとは違い、人の手によって商品価値がとても大きく左右されることがあります。

 

たとえば、電化製品や家具などはどのお店で購入しても品質は一定で、優劣はありません。

ですが外壁塗装となると、職人の作業の仕方で品質はバラバラになります。

リフォームの中でも、バスやキッチンなどは各部材が工場生産され現場で組み立てるため品質は一定に保たれます。

 

しいて言えば大工さんや板金屋さんなど、材料を加工しながら完成物にするという過程をたどる業種は品質がある程度異なったりしますが、いずれにしても塗装ほど品質がバラバラになることは非常に少ないといえます。

なぜなら塗装は液体の塗料を扱う業種だからです。

 

塗料を薄くのばしたり、正常にある程度濃い濃度で塗るにも職人の扱い方ひとつで大きく質がことなり、さらに良くないことに見た目で判断することができません。

仮に手を抜かれてしまった塗装を完成後に見たとしても、それが質がいいのか悪いのか判断はほぼ不可能に近いものがあります。

 

他の商品などは手で触るなり、動かしてみたり、ゆすってみたり実際に使用したりするなどして色々な角度から商品の質を試すことができますが、塗装に限っては「目視」だけが頼りです。

このように完成直後は、雑な仕事であったとしてもキレイに見えてしまう塗装の性質を利用しすれば、その場での手抜き作業は発覚しないので悪質業者の温床といわれるまでになっているのです。

 

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少々話がそれましたが、一括見積もりサイトでは、あらゆる塗装を手掛ける業者さんが登録していますが、運営母体がIT関連の会社がほとんどのため、「業者厳選」と宣伝しつつも現実には厳しい基準は設けられていません。

 

職人の手によって質が大きく変わる塗装は、客観的に見てもやはり国や行政が許認可している業者に信頼を置くほうがベストだと思います。
ただ見積もり一括サイトだからと言って、すべての業者が信頼に値しないということもいうことができません。

 

中には、国家資格である一級塗装技能士をもった職人社長さんか登録してる例もあります。
でもそれはごく一部であり、「登録料」・「月額料」・「契約したら15%」などのように、一括見積もりサイト側へ支払う金額も業者にとってすれば結構な負担になります。

 

さらにはそのサイトの中で当然ながら一括で見積もりをするので、業者同士の価格競争になります。

何度も言うように塗装は職人の手によって質が大きく変わります。

 

例え国家資格の職人社長さんが登録したとしても、価格的にまともな仕事ができる環境ではありません。
せっかくなら、一括見積もりサイトを利用するよりも、国や行政が許認可している業者に直接依頼したほうが何よりベストでしょう。

 

一括見積もりサイトの中では、社会問題となった「キュレーションサイト」と同じような、残念ながらモラルに欠けてしまうサイトもあります。
下記の二つのサイトを見比べますと、「単管足場」の部分で同じ画像がそのままコピーされ使われています。

http://www.nuru.co.jp/gaiheki-koutei/ashiba.html

https://gaiheki.yeay.jp/2227
 

これはごく一部で、当団体関連のサイトでもいくつもの文章や画像がコピーされています。
ヤフー知恵袋の回答でも一括見積もりサイトが紹介されたりしていますが、こういうものに対しては真偽はわからないとしても、ライターさんを雇いモラルに欠ける行動は節々において垣間見ることができます。

 

ただこの問題はトカゲのしっぽ切りと同様で、根本的な解決の糸口がみえないため現在では放置していますが、お伝えしたいのはこの部分ではなく、今後外壁塗装をするであろうという一般消費者の人々に本当の真実な部分で惑わされない目を持ってもらえればと思います。

 

 

ウッドデッキの定番、着色防腐剤のキシラデコール

2017年1月10日

木材専用の塗料、キシラデコール。今日はこの塗料の紹介をします。
 
塗料は、一般に大きく二つに分かれています。
まずいわゆる「ペンキ」と呼ばれるもので、塗ると塗膜(塗装膜、塗装の膜)が作られます。
もう一つがこの「キシラデコール」のように、素材に吸収させる塗料です。塗るのはペンキと同じですが、被膜を作りません。木材専用に用いられます。

 

普通の塗料を塗ると塗膜ができますが、これはスーッと木材の中に染み込んでいくので、着色塗料といわれています。
「キシラデコール」には防腐剤(腐らない成分)も入っていますので、一般に“着色防腐剤”と呼ばれています。

 

 

このような、お家のベランダによくあるウッドデッキを見るとよく分かります。
色は付いていますが塗膜がなく、木目調になっていますね。

 

素材の木目が出ているというのは塗装による被膜がないということです。ではどうやって色を付けるの?というと、この「キシラデコール」などの着色塗料を、吸収させて塗るわけです。

 



こんな感じです。塗っても表面に被膜は作られていません。塗料が吸収され、色が付いています。こういう塗料を着色塗料といいます。この「キシラデコール」は、着色塗料の中でもとくに着色防腐剤といっています。
(↑これは自撮りです。職人さんが、ちょっと工程を説明するのに、自分で塗りながら、自分で撮っているという、すごい画なんですけれども……)

 


さて塗装の工程ですが、まずこういった古い汚れたあかとか、ほこりとか、塗膜を取り除きます。塗膜が残っている木材の場合は、オービタルサンダーという機械を使います。
サンドペーパーを付けてスイッチを入れると、ガーッと上下に自動で動いて、木材を研磨してくれます。そうすると素地つまり下地が出て、塗るための準備ができるというわけです。

 

下地の準備ができたところに「キシラデコール」を塗っていきます。
すると、きれいな色が吸収されて、木材が着色され、木目調の塗装が出来上がります。

今塗っているのは、ピニーという色です。色は10数色ほどあります。
グレー、ブルーグレー、オリーブ、マホガニー、エポニとか。
けれども年数が経っている木材などは、結構アクが出て、黒くなっているものもあります。

 


これは、築30年くらい経っている破風の部分に塗っているところです。
このような古い所に塗ると、黒くなってしまうだけです。
例えば、グレーとか、ピニーといった色は出にくいんです。
ですからその辺を気をつけて色を選ばなくてはなりません。

例えばお客さんに、こんな色を出したいんですけど、と言われても、アクが出ている場合は、本当に黒くなってしまいます。それを了解いただいて、塗装をしています。それから「キシラデコール」は、臭いが結構します。防腐剤の鼻にツンとした臭いがちょっとするので、屋外専用になっています。
ウッドデッキの他には、例えばこのような白木の玄関、純和風のお宅の玄関が・・・

 

表面を磨いて塗装する工程を経て、こんなふうに生まれ変わったりします。

 

前の破風の部分です。これが一回目の塗り、

 

これが二回の様子ですが、本当に黒くなっています。これは決して黒い塗料を塗っているわけではなくて、もうちょっと茶系の色を塗っています。ところが元が年数が経っているため、黒くなってしまうのです。

 

この玄関にキシラデコールを塗る場合は、“アク洗い”という、アクを抜く作業をするんです。

例えば、アクを抜く時には「アクロン」という薬品を使います。
アクロンA・Bといって、MIYAKIというメーカーさんから出している薬品です。このAとBを混ぜ合わせて塗ると、アクが出てくるんです。

 

薬品なので手で触ってはいけません。ゴム手袋をして作業をしています。

 

これがアクです。アクロンを塗ると見て分かるとおり、白いオキシドールみたいな感じで中からアクが出てきます。白い泡になって。それを布で拭いていくんです。すると黒いアクがすごい取れるんです!

 

これもアク洗いしている最中ですね。こうしてアクを抜いていきます。

アクロンでアク洗いした後には、シミ抜きをします。これが確か、レブライト。(もう10何年前に、作業したので私もうろ覚えなんですけども。)これももちろん医薬品です。これでシミを抜きます。シミを抜いて、さらにその後漂白をするんです。

その漂白をするのが「ノーベル」という塗料です。これも、ノーベルAとBがあって、両方混ぜ合わせます。それを使ってきれいに漂白していきます。シミを抜いて漂白してから「キシラデコール」で色を付けていくんです。こうして古い白木が、きれいに生まれ変わります。

 

他の箇所では、このように白い格子状のものが、シミ抜き・漂白をして「キシラデコール」を塗ると・・・

 

このようにきれいに着色したものになります。
ですから和風の家とか、木目調を出して、自然な雰囲気に仕上げたい場合には、有効な塗料だと思います。

 

柱の場合は、このような白い柱が、

 

このように生まれ変わります。
これは着色までですが、この上からクリヤー、ニスなど塗ることもできます。

 

これは他県の別荘で塗らせてもらったものです。
塗装前がこんな感じです。すごい日が当たっており、木が枯れて、ものすごく劣化していました。これは、アク抜きはしていません。「キシラデコール」を塗ってから、その上にクリヤー塗料を塗りました。

 

結果はこのように。

 

ちなみに当時はこんな足場で作業をしていました。
この高さが実はめちゃくちゃで、ここら辺に、もう一段くるんでしょうけども、単管で、自分達で足場を組んでいたので、2段分を1段で済ましていましたが、仕事はキッチリやらせていただきました。

 

キシラデコールを塗ったあとには、クリヤー塗装、水仕上げ、という方法もあります。
このニスの塗料として、外部の木部に使用する時は、ファインウレタンという塗料がポピュラーです。このファインウレタン自体はいい塗料で、業者の間では有名です。これはクリヤータイプの物です。

容器には「呼吸形弾性」、と表示があります。

木部というのは、呼吸をしています。湿度を吐いたり、吸ったりしているんですけど、クリヤー塗料を塗ると、湿度を吐いたり吸ったりしている段階で、例えば吐くと、膨れてしまったりするんです。ニスがバリバリになったりするので、それを避けるために、呼吸形弾性というものがあります。弾性というのはひび割れに強いということです。

このときは、クリヤー塗料を塗りました。
キシラデコールはもちろん2回塗ったんですけれど、これはクリヤーを5回くらい塗りました。木が塗料を吸って吸って、クリヤーにツヤが出なかったんです。
だから結局7回か8回もの工程を経ています。下地調整抜きで。このときは本当に大変でした。

 

事例の別荘のような木の家は、別荘地などに行かないと今は少なくなりました。ただウッドデッキはまだまだ自分で塗る場面も多いと思います。たぶん素人でも自分でやろうと思う方もいるでしょう。そんな時「キシラデコール」は、すごいいい塗料なので、ぜひ使ってみてください。

ちなみに「キシラデコール」は、かなり沈殿します。多分この色の成分だと思いますが、中で分離してしまうんです。
そのため使う前には、ものすごくよくかき混ぜるか、缶を振らないといい色が出ません。結構長く在庫で置いてしまってから使うと、よーく振ったつもりでも、実はまだ沈殿していて混ざっていなかった、なんていうこともよくあります。お店で買う時も、しばらく店頭に置いていることもあるので、使う前はよく撹拌して使ってください。

 

さらに、キシラデコールやすらぎという種類もあります。これはUVカット、白木用洗剤の塗料です。

 

これはヤニ止めシーラです。

 

今回は「キシラデコール」という塗料をご紹介しました。

もし素人さんが塗るのでしたら、「キシラデコール」がオススメです。
大きな18リットル缶だけではなく、16リットル缶や、小さい缶でも4リッター缶というのもあります。色も、オスモカラーとか、種類もたくさんありますし、自然に優しい塗料なんていうものも出ています。
ウッドデッキは腐りやすいので、着色防腐剤がいいと思います。
2回~3回塗れば、OKではないかなと思います。

 

あけましておめでとうございます

2017年1月1日

あけましておめでとうございます

旧年中は格別のご厚情を賜り、誠にありがとうございました。
本年は昨年以上に皆様により良い情報を提供できますよう
誠心誠意努力する所存でございます。
本年もご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

平成二十九年一月一日

一般社団法人 外壁塗装協会