屋根塗装。塗料サーモアイSiとケレンの、終わりなきカンケイ
2015年10月1日
現在一般的なスレート(コロニアル)屋根だけではなく、トタン屋根の塗装にも遮熱に効果的な塗料のひとつ「サーモアイSi」が効果を発揮します。これは大きな分類では2液タイプとも呼ばれ、主剤(大缶)と硬化剤(小缶)を調合して使用します。
さらにサーモアイSiはシリコン樹脂を成分に含む弱溶剤タイプの塗料で臭いが少なく、施工中ご近所に迷惑をかける心配もありません。シックハウス症候群への配慮にも有効です。
現場の職人がこうした特性をよく理解し、丁寧な仕事をすることで、遮熱性能、環境性能、健康性能などサーモアイSiの持つ多くのメリットがいっそう際立ちます。
こちらは窓周りの木部に用いる下塗り塗料です。
木製窓枠など劣化しやすい箇所を保護する塗料で、職人が塗料面の状態を良く観察しながら、丁寧な刷毛塗りを行ないます。
やや年季が入ったトタン(鉄部)という塗装面の場合、前回塗装時の残塗料くず、サビやさまざまな汚れの除去を行なう下地調整作業が、まず大切で、ここに多くの労力と時間をかけます。
下地調整作業のことを「ケレン」と呼びます。
これが大きな威力でケレン作業をリードする「カワスキ」
上がハンドパッド。その右がマジックロン。そしてゴミを掃くラスター刷毛。
金属製のデッキブラシ。
残塗料くず、サビやさまざまな汚れを掃除機で吸込むと……
こんなにたくさん取れます。
そして要所要所を下塗りサビ止めしたあと
屋根全体にローラーを転がして、さらに下塗りを行ないます。
塗装面の状態によっては、下塗り後もさらにケレン作業を加えて、
さらに下地を整えます。
下塗り塗料が充分乾燥すれば、いよいよ中塗り塗料サーモアイSiの出番。
乾燥前ですが美しい中塗り塗膜ができました。続いて仕上げの上塗り工程に進みます。
が、ここまでで、いったん「塗料サーモアイSiとケレンの、割りなき関係」のお話は終わりです。
このあとは、美しい中塗り塗膜に、さらに美しい上塗り塗膜が加わり、素敵な仕上がりが予想されます。
しかし、美しい仕上がりを支える、地味ですがとても大切な「ケレン」にも、ぜひご注目を。
表舞台で目立つ塗料と、その下に隠れるケレンの分かち難い関係こそ、
塗装工事における、仕上がりの決め手のひとつなのですから。
塗料の種類より耐久性に影響する塗料缶数の使用量とは?
2013年11月22日
住宅によって、面積の広さ、外壁の傷みや模様の種類、使用する塗料……
家それぞれ様々な条件が違えは、使用する塗料の缶数は変わってきます。
塗料缶数で言えばどちらかといえば消費が少なすサイディング。
それに比べてモルタル外壁の代表であるリシンやスタッコなどは正確に塗れば塗ろうとするほどとても多くの塗料を消費します。

モルタルリシン

吹き付けスタッコ
凸凹ザラザラの模様の目が粗い外壁の住宅では40缶近く使用することも。
平均でも、下塗りに5缶、中塗りと上塗りそれぞれに三缶ずつなど10缶以上使う事が多くなります。
ジョリパットも模様によっては多くの塗料を使います。

ジョリパット
「何回塗りなの?」
「どんな塗料を使うの?」
こうやって訪ねてくるお客様は、たくさんいらっしゃいます。ご自分で調べた知識の中で気になる点、またはここを聞いた方がいいよ、と言うアドバイスに従っているのでしょう。
勿論、そこも大切な所です。だって薄く塗られてしまったら困りますし、無名の塗料であれば不安ですもの。
しかし例えば高級塗料を使用していても、シンナーや水をだぼだぼと入れて薄く延ばしてしまえば、三回塗りをしたところでとても薄い塗膜しか出来あがりません。
薄く伸ばして使えば、使う塗料は少なくて済みます。
さらに言えば塗る手間も極端に減らすことも可能なので、手抜き工事の一つとしてよく例えられたりもします。
けれど、薄く伸ばした分だけ、汚れも、亀裂も、カビも防止出来ないのです。
塗装費用がかかるのは、足場を組み、養生をするからです。足場は撤去してしまいますし、養生は最後にはごみになってしまいます。
けれど、塗膜は残ります。
そしてたくさんお金を掛けるのは、この最後の「塗膜」を残すためです。
下地調整、メーカー基準の希釈量(薄め量)、そしてしっかりとした養生。

使用済みの空缶

塗料缶に記載される希釈率への注意書き
もしよろしければ、大体でもいいので下塗り・中塗り・上塗りで使用する缶数をお尋ねください。
370kgの塗料を使った外壁塗装
2013年11月18日
外壁塗装と一口に言っても サイディング、モルタル、ALCなど様々な種類の外壁があり、更にそれぞれの家の環境があります。家の環境や築年数により傷みの箇所や具合も大きく変わってきます。

クラック
ザラザラと凹凸の激しいモルタル外壁での施工。モルタルはクラック(ひび割れ)が発生しやすい特徴があり、このお宅ではカビも多く発生していました。塗装前にしっかりと高圧洗浄を行うことでこびり付いた汚れやカビをしっかりと除去。この汚れや古い塗膜を残したまま塗装をしても汚れ部分から剥がれてきてしまい、長く保つ塗装とは言えなくなってしまいます。

モルタル外壁のクラック補修
汚れをしっかりと落としたらクラック(ひび割れ)の補修。他にも木部や鉄部、傷んでいる所があったら大工などの専門職人を入れてしっかりと直しておきます。傷んだところを覆うように施工をしても、やはり長持ちする施工とは言えません。
クラックにシーリングを埋めて、戸建て以外の鉄筋コンクリートなどの外壁にはUカット工法やVカット工法など技法を駆使し、しっかりと補修します。
補修が終わったら一流メーカーで開発されたパーフェクトフィラーを下塗り材に使用。フィラーはシーラーより弾性があり、クラックの対応に強い塗料です。今回のお宅では下塗り~上塗り、全ての施工を終えるまでに25缶。およそ370kgもの塗料を使いました。
どれだけ汚れをしっかり落とそうと、どれだけ傷んだところをしっかり直そうと、外壁を塗りあげる塗料に手を加えてしまっては意味がありません。薄めすぎた塗料を使えば手間も材料費も省くことが出来ますが、見た目だけの仕上がりになってしまいます。370kgもの塗料をメーカーが定めた希釈率に従って用意して適切な施工を行うことで、塗料の性能を最大限に引き出し、丁寧に行った下地調整が生きて家を長く守る施工へと繋げることができます。