スレート屋根塗装に縁切りは必要なのか真実を知る。

2013年11月29日

住宅の屋根塗装で一番種類が多いスレート屋根。その際、多くの方が気にされる縁切りと言う作業。
業者さんによっても必要・不必要と見解が違うことも少なくなく消費者側からすれば悩まれる方も多いかと思います。
まず、新築からはじめての屋根塗装であれば、十分な隙間がある場合がほとんどなので縁切りは必要ないでしょう。
 

十円玉が入るほど隙間がある縁切り不要なスレート屋根も少なくない


 
それでも安心感を得るというためだけに縁切りをしたいという方もいます。
2回目以降の屋根塗装の場合は、それだけ塗装による厚みが増しているため、スレートの重なり部分もふさがってしまう可能性が高くなります。
そのような場合タスペーサーと言う縁切り道材料が便利です。
水切りカッターやカワスキ等での縁切りでは、完全に乾燥硬化していない塗膜は、再びくっついてふさがってしまうからです。
 

カワスキでの縁切り


 
ただしタスペーサーの使用はスレート屋根のひび割れのリスクを高めてしまうということも考慮しなくてはいけません。
 

タスペーサーを挿入して塗装


 
特にノンアスベストのスレートの屋根材は、ささくれやミルフィーユ層になっていてとても衝撃に弱いためタスペーサーはもちろんのことカワスキ等のヘラを重ね部に際込むこと自体クラックの危険性が高まります。
 
そもそもノンアスベストの代表例であるニチハのパミールやクボタコロニアルNEO、松下電工のレサスなどは屋根塗装自体が不向きと言われています。
 

ノンアスベスト屋根の代表格、ニチハのパミール


 
そしてタスペーサー使用の場合、通常の強固なアスベスト入りのスレート屋根だとしてもクラックの危険性は常にはらんでいます。
 

 
まず施工時に作業中に職人がタスペーサー部分を踏んでしまいクラックが入ってしまうケース。
これは職人の注意で避けられそうなイメージがありますが、複数人で作業している場合や突貫的な工事ではついついその上を踏んで歩いてしまうというものです。
 
そして一番危惧するのが次回の屋根塗装時の場合です。
塗装して10年ほど経過すればスレート自体も新築時と違い脆くなってきます。
屋根全体も風化してタスペーサーの取り付け場所も差し込み当時よりかは不明瞭になってくる可能性も高く、そもそもその時に作業する職人はほぼタスペーサーのことを気にすることもなく作業してしまうことが大いに予想できます。
 

タスペーサーを挿入した後、その上の歩行は要注意


 
そうなってくるとパキバキとクラック音を立てながら作業することになってしまいます。
更に屋根に上るのは塗装業者だけではありません。
テレビアンテナの不具合などで電気屋さんがのぼる可能性もあります。
足場なしでハシゴだけで上る訳なので歩行箇所を気にする余裕などはまったくといって無いとも思われます。
 
しかし遮熱や断熱など、塗料性質上どうしても肉厚になってしまう屋根塗装に関してはそれを見越したとしてもタスペーサーは必要になると思います。
また、断熱塗料であれば十分な弾力性があるので、問題ないと思いますが、そこは実際に現場を見ている業者さんによく訪ねてみましょう。