外壁塗装の一括見積りは慎重に。業者へ足を運んでその会社の素性を知ることが重要

2019年11月17日

昨日外壁と屋根塗装をしてからまだ2年経過していないという方から「ガイナという断熱塗装をしたものの2年たたないうちに錆が浮きでできた」という相談がありました。

 

その業者に電話を入れてみるとすでに業者は倒産してなくなっているとのこと。

なぜなのかこのような状況の相談は最近不思議とちょくちょくあります。

 

ただ今回の場合は、会社こそないものの当時担当してくれた営業マンとは携帯番号が残っていた経緯から、まだつながることができているようで今度職人を引き連れて調査しに来るという話らしいですが信用がいまいちということでも不安の様子。

 

施工内容はサイディングで屋根はスレート。

塗る前のサイディングの釘頭が恐らく錆びていて他の業者に相談したらガイナの塗膜ごとサンダー等で研磨したらどうかという話をもらったらしいしのですが、それをしたら外観に影響を及ぼすという話をしました。

 

不思議なのは塗装前には錆びていなかった釘等がもし錆びていたとしても2年ほどでガイナの塗膜を浸透させて表面に錆が浮き出てくるかということです。

 

それを想像させたのは、ガイナ自体の材料がたった2缶しか使用していなかったという相談者の方の記憶です。

 

 

断熱塗装は特に肉厚塗装が命です。

たっぷり濃厚に肉厚に塗れば、断熱効果がより発揮されます。

 

通常1年半ちょっとで断熱塗装の肉厚から錆が浮き出てくるとは思えません。

 

ただねっとりとしているのでメーカーが規定している以上に希釈材(水)を多く入れて塗りやすくしてしまう傾向もなくはありません。

 

見積もりの計算上、例えば外壁の面積に釣り合った塗料缶数であればいいのですが、聞くところによると建坪30ほどのお家の大きさ。

 

外壁のツルツルやザラザラ凹凸などの外壁表面の粗さで材料の消費量も、見積もり時と多少変わってくる場合も確かにありますが、大きく差異があったとしてもそれでも2缶はあり得ないという話をさせて頂きました。

 

もしかしたらあまりの塗装の薄さのせいでさびの原因が・・

 

ただそれもあくまでも相談者の方の記憶の中の話です。

 

こちらとしてはアドバイスしかできないので、結局のところ施工してもらった業者(今回の場合は営業マン)に相談して何か対策をしてもらうしかない、もしくは研磨などで外観上悪影響を及ぼすよりも今の現状のまま研磨も何もしないで、他の塗料でも同じ色を上に塗ってごまかすしかないのではというアドバイスをしました。

 

当時の見積もりは8社に見積もりを依頼して慎重に決めたのにと嘆いておられましたね。

 

それもその8社すべての業者選びが「外壁塗装の〇〇」という一括見積りサイトからの選択だったようです。

 

本当は名前を明らかにしたいほどですが、選ぶほうもネットからの塗装やうんちく知識を覚えるというよりかは、実際にその塗装業者の事務所や会社に足を運んで様子見をしたほうが、今回のようなケースは間逃れるのではないかと思いました。

 

これは前々から言っていることですが、ネットの文章や写真はある意味”制作”できてしまうものですが、実際にあるリアル店舗はそうはいきません。

 

今回の問題に戻りますが、当時材料は現場の相談者の方のお家に直接配達されてきたそうです。

 

なので2缶という缶数も覚えていたということですが、業者が持ってきたわけではなく事務所にも行ったこともなく営業担当者が家に来て見積書や診断書、パンフなどの印刷物だけで判断してしまい、会社の本当の素性を知らないまま倒産してしまったというのも、もし当時その会社の事務所に足を運んでいたら何か気づいたことがあったかもしれません。

 

 

塗装業界は競争がし烈なので集客に苦しむ塗装業者が救いを求めて一括見積サイトに登録するのはわからなくもないですが、登録したらしたらで見積もり依頼してきた一件の消費者に対して大勢の同業者が提案攻勢をかけて契約を獲得しなければいけない状況というのも過酷な競争で、結局は業者から成功報酬を多額に受けている一括見積サイトの運営を潤すだけの結果となり、今回のような消費者が泣き寝入りするという構図は、ネットの情報を何でもかんでも消費者が信じる限りしばらくは続きそうな予感さえします。

 

 

一括見積もりサイトの集客力が長けている一方で、現場一筋で来た業者ほど自分をアピールしてお客さんを獲得するという集客力に欠けているという現実に切なさを感じますが、だからといってまるで出前を頼むような感覚で見積もりを依頼するという消費者にも何か慎重さが足りないような気もしています。

 

2.3社から見積もり依頼をするというのはわかりますが、今回のような8件という数字にもあったような、できるだけ数多く見積もりを取るというのも業者の本質で業者選びをしているというよりかは、ネット上の画像や文章、はたまた印刷物だけに頼って比較しているとしか思えません。

 

本質というのは繰り返しますが、その業者の事務所に足を運んでみたり本当に塗装の専門家かどうかということです。

 

塗装の専門家というのはその会社を統率しているような人間が知識に対して詳しいだけではなく、現場に対しての技量を兼ね備えているかどうかということです。

 

結局のところそれを証明するのが一級塗装技能士のような資格だったりします。

 

今回も外壁が7年屋根が4年という保証期間がついていたということでしたが、会社そのものが無くなってしまえば保証なんかも関係なくなるというか、そもそも”保証自体に保証”があるわけでもありません。

 

また絶対に保証をしなければならないという行政などの確約みたいなものも当然あるわけでもなく、誰でも印刷することができる保証書に魅力を感じてしまうことに問題もあるのかなと思っています。

 

 

以上一括見積りサイトだけに言えることではないことも話してきましたが、今後もまた相談事例があればここに掲載していきたいと思います。

 

外壁サイディングのコーナー部分のクラックと隙間

2017年10月17日

塗装後の7年後と3年後に、外壁サイディングのコーナー部分にひび割れや隙間が生じてくるという現象です。

 

 
塗装後6年後

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塗装後3年後
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ちなみにコーナー部分以外の外壁面は正常です。

窯業系サイディングのコーナーには、一体物と接合した2種類があります。

一般には一体型のものは、木造の構造上コーナーにはエネルギーが集中するためゆがみが生じやすく、その影響でコーナー部のサイディングの素材破談が起こって塗膜剥がれのような現象が起こると言われています。

一方で接合型のほうは経年劣化とゆがみで隙間が生じ、サイディング断面から水分が吸収してしまうと言われています。

窯業系サイディングは繊維とセメント素材を混合させて圧着したものなので、水分を吸収しやすく藻やコケの発生にもつながります。

また寒冷地などでは凍害による爆裂現象になることもあります。

雨漏りにつながる?DIY塗料を使用する場合の屋根塗装の注意点

2013年11月29日

カワスキ使用での下地調整で軒天に塗られた古い塗膜がペロリとはがれる


 
築年数30年近い戸建て。
屋根塗装としては2回目の工事。
下塗りのシーラーをスレート(屋根材)全体に塗布したところ、既存の塗膜に異変が…。
なんと古い塗膜が溶けて表層に浮きあがってきてしまいました。
 
施工をしていた一級塗装技能士の職人も困惑気味。
加えて、溶解した塗膜は屋根材の重なりを埋めてしまっている状態。
このままですと、わずかに空いた隙間から雨水が吸い上げられて、逃げ場がないため雨漏りにつながる危険性も考えらなくはありません。
 

 
対策として皮スキで塗膜を取り除き、屋根材に隙間を開けます(縁切り)。タスペーサーという資材を入れることもありますが、屋根の状態によっては割れてしまう可能性も高いため、手作業にて縁切りしました。浮き出てしまった塗膜も一日がかりで入念に削り落してから塗装です。
前回の初回の塗装は状況として推測できるのがホームセンター等で購入した塗料で塗り替えた可能性が浮上しました。
 
塗装知識にあまり詳しくない素人の方がやりがちなのも、次の塗装時のことを考慮せずにやってしまう塗装です。
過去の経験から思い当たる節として、塗料扱い時に対する塗料メーカー側の安全性対する配慮から来ているのかわかりませんが、DIY塗料は乾燥してもその上からの塗装に対してはどことなく溶解しやすいのです。
 
これは屋根塗装に限ったことではなく、現場で多い事例が軒天などの塗装です。
外壁と軒天の取り合い箇所をラッカーテープ(マスキングテープ)で養生し、塗装完了後にテープをはがすとそのまま前回塗装の層からはがれたり、塗膜表面に対してちぢれを起こしたりすのもDIY用の塗料の使用だといわれています。
 
塗膜をしっかり下地に密着させるためには、屋根の水洗いをするときに汚れやコケといった付着物を丁寧に落とすことが大切ですが、塗料選びも重要です。
塗装工事は以前に使用した材料や、塗装法が如実に今の工事に影響してくるものです。
はじめて行った塗装の影響で、本来払う必要のなかった工事費が追加されることにもなりかねません。
今後を見据えて、しっかりとした施工をしてもらうことが大事でしょう。