ウッドデッキの定番、着色防腐剤のキシラデコール

2017年1月10日

木材専用の塗料、キシラデコール。今日はこの塗料の紹介をします。
 
塗料は、一般に大きく二つに分かれています。
まずいわゆる「ペンキ」と呼ばれるもので、塗ると塗膜(塗装膜、塗装の膜)が作られます。
もう一つがこの「キシラデコール」のように、素材に吸収させる塗料です。塗るのはペンキと同じですが、被膜を作りません。木材専用に用いられます。

 

普通の塗料を塗ると塗膜ができますが、これはスーッと木材の中に染み込んでいくので、着色塗料といわれています。
「キシラデコール」には防腐剤(腐らない成分)も入っていますので、一般に“着色防腐剤”と呼ばれています。

 

 

このような、お家のベランダによくあるウッドデッキを見るとよく分かります。
色は付いていますが塗膜がなく、木目調になっていますね。

 

素材の木目が出ているというのは塗装による被膜がないということです。ではどうやって色を付けるの?というと、この「キシラデコール」などの着色塗料を、吸収させて塗るわけです。

 



こんな感じです。塗っても表面に被膜は作られていません。塗料が吸収され、色が付いています。こういう塗料を着色塗料といいます。この「キシラデコール」は、着色塗料の中でもとくに着色防腐剤といっています。
(↑これは自撮りです。職人さんが、ちょっと工程を説明するのに、自分で塗りながら、自分で撮っているという、すごい画なんですけれども……)

 


さて塗装の工程ですが、まずこういった古い汚れたあかとか、ほこりとか、塗膜を取り除きます。塗膜が残っている木材の場合は、オービタルサンダーという機械を使います。
サンドペーパーを付けてスイッチを入れると、ガーッと上下に自動で動いて、木材を研磨してくれます。そうすると素地つまり下地が出て、塗るための準備ができるというわけです。

 

下地の準備ができたところに「キシラデコール」を塗っていきます。
すると、きれいな色が吸収されて、木材が着色され、木目調の塗装が出来上がります。

今塗っているのは、ピニーという色です。色は10数色ほどあります。
グレー、ブルーグレー、オリーブ、マホガニー、エポニとか。
けれども年数が経っている木材などは、結構アクが出て、黒くなっているものもあります。

 


これは、築30年くらい経っている破風の部分に塗っているところです。
このような古い所に塗ると、黒くなってしまうだけです。
例えば、グレーとか、ピニーといった色は出にくいんです。
ですからその辺を気をつけて色を選ばなくてはなりません。

例えばお客さんに、こんな色を出したいんですけど、と言われても、アクが出ている場合は、本当に黒くなってしまいます。それを了解いただいて、塗装をしています。それから「キシラデコール」は、臭いが結構します。防腐剤の鼻にツンとした臭いがちょっとするので、屋外専用になっています。
ウッドデッキの他には、例えばこのような白木の玄関、純和風のお宅の玄関が・・・

 

表面を磨いて塗装する工程を経て、こんなふうに生まれ変わったりします。

 

前の破風の部分です。これが一回目の塗り、

 

これが二回の様子ですが、本当に黒くなっています。これは決して黒い塗料を塗っているわけではなくて、もうちょっと茶系の色を塗っています。ところが元が年数が経っているため、黒くなってしまうのです。

 

この玄関にキシラデコールを塗る場合は、“アク洗い”という、アクを抜く作業をするんです。

例えば、アクを抜く時には「アクロン」という薬品を使います。
アクロンA・Bといって、MIYAKIというメーカーさんから出している薬品です。このAとBを混ぜ合わせて塗ると、アクが出てくるんです。

 

薬品なので手で触ってはいけません。ゴム手袋をして作業をしています。

 

これがアクです。アクロンを塗ると見て分かるとおり、白いオキシドールみたいな感じで中からアクが出てきます。白い泡になって。それを布で拭いていくんです。すると黒いアクがすごい取れるんです!

 

これもアク洗いしている最中ですね。こうしてアクを抜いていきます。

アクロンでアク洗いした後には、シミ抜きをします。これが確か、レブライト。(もう10何年前に、作業したので私もうろ覚えなんですけども。)これももちろん医薬品です。これでシミを抜きます。シミを抜いて、さらにその後漂白をするんです。

その漂白をするのが「ノーベル」という塗料です。これも、ノーベルAとBがあって、両方混ぜ合わせます。それを使ってきれいに漂白していきます。シミを抜いて漂白してから「キシラデコール」で色を付けていくんです。こうして古い白木が、きれいに生まれ変わります。

 

他の箇所では、このように白い格子状のものが、シミ抜き・漂白をして「キシラデコール」を塗ると・・・

 

このようにきれいに着色したものになります。
ですから和風の家とか、木目調を出して、自然な雰囲気に仕上げたい場合には、有効な塗料だと思います。

 

柱の場合は、このような白い柱が、

 

このように生まれ変わります。
これは着色までですが、この上からクリヤー、ニスなど塗ることもできます。

 

これは他県の別荘で塗らせてもらったものです。
塗装前がこんな感じです。すごい日が当たっており、木が枯れて、ものすごく劣化していました。これは、アク抜きはしていません。「キシラデコール」を塗ってから、その上にクリヤー塗料を塗りました。

 

結果はこのように。

 

ちなみに当時はこんな足場で作業をしていました。
この高さが実はめちゃくちゃで、ここら辺に、もう一段くるんでしょうけども、単管で、自分達で足場を組んでいたので、2段分を1段で済ましていましたが、仕事はキッチリやらせていただきました。

 

キシラデコールを塗ったあとには、クリヤー塗装、水仕上げ、という方法もあります。
このニスの塗料として、外部の木部に使用する時は、ファインウレタンという塗料がポピュラーです。このファインウレタン自体はいい塗料で、業者の間では有名です。これはクリヤータイプの物です。

容器には「呼吸形弾性」、と表示があります。

木部というのは、呼吸をしています。湿度を吐いたり、吸ったりしているんですけど、クリヤー塗料を塗ると、湿度を吐いたり吸ったりしている段階で、例えば吐くと、膨れてしまったりするんです。ニスがバリバリになったりするので、それを避けるために、呼吸形弾性というものがあります。弾性というのはひび割れに強いということです。

このときは、クリヤー塗料を塗りました。
キシラデコールはもちろん2回塗ったんですけれど、これはクリヤーを5回くらい塗りました。木が塗料を吸って吸って、クリヤーにツヤが出なかったんです。
だから結局7回か8回もの工程を経ています。下地調整抜きで。このときは本当に大変でした。

 

事例の別荘のような木の家は、別荘地などに行かないと今は少なくなりました。ただウッドデッキはまだまだ自分で塗る場面も多いと思います。たぶん素人でも自分でやろうと思う方もいるでしょう。そんな時「キシラデコール」は、すごいいい塗料なので、ぜひ使ってみてください。

ちなみに「キシラデコール」は、かなり沈殿します。多分この色の成分だと思いますが、中で分離してしまうんです。
そのため使う前には、ものすごくよくかき混ぜるか、缶を振らないといい色が出ません。結構長く在庫で置いてしまってから使うと、よーく振ったつもりでも、実はまだ沈殿していて混ざっていなかった、なんていうこともよくあります。お店で買う時も、しばらく店頭に置いていることもあるので、使う前はよく撹拌して使ってください。

 

さらに、キシラデコールやすらぎという種類もあります。これはUVカット、白木用洗剤の塗料です。

 

これはヤニ止めシーラです。

 

今回は「キシラデコール」という塗料をご紹介しました。

もし素人さんが塗るのでしたら、「キシラデコール」がオススメです。
大きな18リットル缶だけではなく、16リットル缶や、小さい缶でも4リッター缶というのもあります。色も、オスモカラーとか、種類もたくさんありますし、自然に優しい塗料なんていうものも出ています。
ウッドデッキは腐りやすいので、着色防腐剤がいいと思います。
2回~3回塗れば、OKではないかなと思います。